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解けない酵素についての謎

最近よく、酵素が体に良いと聞きますよね。

 

今回は、わたしがずっと疑問に思っている、"酵素についての謎"をご紹介したいと思います。

 

まず、生化学的に、酵素はそのまま体内には入らない根拠を整理してみました。(消化管である口から肛門までは体外とします。)

 

  • ヒトは、アミノ酸を原料として、自らのDNAを設計図として"自分の"タンパク質を作っています。人間の体内では、様々な化学反応が起こっていて、それを触媒するタンパク質のことを、代謝酵素や消化酵素と呼んでいます。
  • ヒトは、消化管から食物に含まれるタンパク質をそのまま吸収することは基本的にはしません。タンパク質をアミノ酸に自分の消化酵素で分解して、アミノ酸として吸収します。(腸壁の異常、リーキーガット症候群などではタンパク質が腸壁を透過してしまい、体内に異常が起こることがありますが、これはあくまでも望まれない状況です)
  • 自分のDNA由来のタンパク質以外のタンパク質が体内に侵入すると、免疫反応によりその"外から来た"タンパク質(を含む病原体やがん細胞など)を攻撃します。これは自己と非自己を見分け、非自己を体内から排除しようとする防御反応です。

 

以上を踏まえると、最近よく聞く以下の主張が不思議でたまりません。

 

その1: 歳をとると体内の酵素が減ります

  • 人間は体内のタンパク質をアミノ酸に分解、また逆に合成しています。それを踏まえると、タンパク質の一種である酵素が年齢とともに減るというのはどういう意味なのか理解できません。年齢とともに、タンパク質⇄アミノ酸の変換頻度が減るというならまだ分かるのですが、そういう主張でもなさそうですよね。

 

その2: 生の野菜やフルーツを食べて、酵素を取り込もう!

  • 食物の酵素を食べたからと言って、そのまま(タンパク質の一種である)酵素を消化管から吸収することはなく、人間が出す消化酵素によってアミノ酸に分解された後、アミノ酸として吸収されます。火を通さなければ、タンパク質変性をさかられる分、植物自身が持つ酵素酵素活性のあるまま消化管に入れられるのは分かるのですが、火を通そうが通すまいが、食物由来の酵素も全てタンパク質なのですから、そのまま人間の体内には入れません。消化の過程でアミノ酸に分解され、その上で吸収されます。また、アミノ酸の形で吸収されると、自分のDNA(設計図)に基づいて酵素をふくむあらゆるタンパク質が合成されるので、もともとの植物由来の酵素に戻ることはないです。ここでの主張が、生野菜やフルーツは、そんなに消化酵素を出さなくても吸収される栄養分が多い(例えばフルクトース)と言うならまだ分かるのですが…

 

その3: 毎日3食食べると、体内の酵素が消化に使われて代謝に使われる酵素がなくなり、代謝が悪くなるので、ファスティングをするとよい。さらには、酵素ドリンクでファスティングすると代謝が良くなる。

  • 酵素は、関与する化学反応によって、異なる酵素が数多く(数万)存在します。消化酵素代謝(に使われる)酵素がまるで同じもののように扱われていて、混乱しますね…しかも、それで酵素をドリンクとして取り込んだとしても、そのまま吸収されないし、もう理解不能に陥ります。

 

 

科学論文も調べたし、これらの主張をされている写真の日本の医師の著書も読みましたが、この辺りの回答は見当たりませんでした。

 

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最近の酵素くんの一人歩きに、もやもやしているのは、私だけでしょうか。

 

生化学って、医学、薬学、農学、化学、生物学など色んな学問の基礎なので、私と同じ疑問を抱いている人は意外と多いんじゃないかなと思っています。

 

しっくりくる解答が見つかれば嬉しいです!!!